エアランドバトル 2013 2 2

 エアランドバトル(Airland Battle)とは、
1980年代に策定されたアメリカ軍の戦術で、
空軍と陸軍の一体的な運用を意味する戦術であり、
湾岸戦争やイラク戦争で応用されました。
 日本では、一口に米軍と言いますが、
陸軍、海軍、空軍、海兵隊は、
お互いに価値観が違い、
うまく連携が取れない時があります。
月並みな言葉で言えば、「仲が悪い」ということです。
 しかしながら、こうした「文化の違い」を乗り越える時は、
戦争が近いと言えるでしょう。

文化の違い 2012 4 29
 時々、アメリカ海兵隊の普天間飛行場と
アメリカ空軍の嘉手納基地を統合する、
「嘉手納統合案」がニュースで流れます。
 この案は、一見すると合理的なように見えますが、
実現は、難しいと思います。
なぜかといえば、「文化の違い」が大きいからです。
 2011年に書評で取り上げた、
「在日米軍司令部」という本を読めばわかるように、
あるいは、兵頭二十八氏の著作にあるとおり、
空軍と海兵隊には、文化の違いがあります。
 空軍は、米軍の中ではエリートで、
貴公子のような雰囲気すら感じさせます。
 一方、海兵隊は、
ボディビルダーのシュワルツェネッガーのイメージでしょうか。
 空軍は、常に最新鋭の兵器を欲しがるのに対して、
海兵隊は、あえて一世代古い兵器を使って、
最高の戦闘能力を発揮したいという願望があるでしょう。
これは、空軍からしてみれば、嫌味以外の何ものでもないと感じるかもしれません。
そういうわけで、同じ屋根の下に、一緒に住むことはできないでしょう。
 仮に、無理やり「結婚」させても、
同じ屋根の下だから、ストレスがたまり、
かえって、トラブルが増えるのではないでしょうか。
 やはり、空軍と海兵隊は、離しておいた方が平和だと思います。
両者は、文化の違いが大きすぎて、同じ屋根の下には住めないのです。

在日米軍司令部 2011 10 30

書名 在日米軍司令部(文庫版)
著者 春岡 剛  新潮社

 皆さんは、在日米軍のことを知っているでしょうか。
おそらく、在日米軍の若い兵士がトラブルを起こしたときに、
新聞報道で知る程度だと思います。
 しかし、それは、不幸な知り方です。
日本とアメリカは、軍事同盟を結んでおり、
その結果、日本に米軍が駐留しています。
 当然、軍事同盟だから、
自衛隊も、アメリカに駐留してもおかしくありませんが、
日本の軍事力の規模を考えると、難しいでしょう。
 ただし、将来、アメリカが財政破綻すると、
世界規模で米軍を展開するのが困難になりますので、
米軍が抜けた空白地帯を自衛隊が守るという展開があるかもしれません。
 話がそれました。
いずれにせよ、少なくとも、政治家や国際情勢に興味がある人は、
この本を読んでおく必要があると思います。
 自衛隊の幹部クラスの人たちは、
在日米軍のことをよく知っているでしょうが、
それは、不満という知り方かもしれません。
 自衛隊の幹部クラスの不満とは、
在日米軍司令部が有事の指揮権を持っていないということでしょう。
 では、持っている権限は、どういうものか。
それは、基地の管理・調整業務に近いかもしれません。
だから、自衛隊の幹部クラスの目は、
ハワイにある太平洋軍司令部に向くのかもしれません。
 そこで、在日米軍の司令官を三ツ星(中将)から、
四ツ星(大将)にして権限を拡大させるべきだという議論が出てきます。
 しかし、これは、意外にも難しいのです。
米軍は、みずほフィナンシャルグループと同じで、
三軍による主導権争いが強いのです。
 みずほフィナンシャルグループでは、いまだに、
このポストは、日本興業銀行出身の指定席、
あのポストは、第一勧業銀行出身の、
いや富士銀行出身の指定席だという争いが絶えませんが、
米軍においても、似たような状況でしょう。
この司令官のポストは、海軍の指定席だ、
あのポストは、陸軍だ、いや空軍だという具合です。
 東アジアにおいては、日本を除いて、
急速な軍事拡張が続いています。
 このような情勢では、日本としては、
米軍の「お家騒動」を気にしないで、
ホワイトハウスに対して、
「在日米軍の司令官を四ツ星(大将)にしろ」と主張すべきでしょう。
 この本では、政治・軍事ばかりではありません。
エピソードも豊富にあります。
ライト司令官の活躍が印象に残ります。
 ライト中将は、日本の政治家の迷走を見て、
「自分が日本を守りたい」という思いが強かったのでしょう。
ライト司令官にとって、日本が第二の故郷だったと思います。


















































































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